塩野七生「マキャヴェッリ」(新潮文庫)を再々読しました。以前にくらべて私自身の注目箇所がずいぶんと変化しました。まず、男の嫉妬がいかに怖いかについて深く共感しました。運命と力量との関係が納得できるようになりました。事業は余程の覚悟なしにはできないことを再認識しました。
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1992/11/30
- メディア: 文庫
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人は心中に巣くう嫉妬心によって、褒めるよりもけなすほうを好むものである。それゆえに、新しいやり方や秩序を主張したり導入したりするのは、それをしようとする者にとって、未知の世界の海や陸の探検と同じくらいに危険をともなう「事業」になる。(P.94)
…以上のことから、結論が出せると思う。運命は、変化するものである。それゆえ人間は、自分流のやりかたを続けtても時勢にあっている間はうまくいくが、時代の流れにそぐわなくなれば失敗するしかない、ということである。
わたしは、はっきりと言う。慎重であるよりは、果敢であるほうがよいと、 断言する。なぜなら、運命の神は女神なのだから、彼女に対して主導権を得ようと思うなら、乱暴にあつかうことが必要なのだ。運命は、冷たいほど冷静に対してくる者よりも、征服したいという欲望を露わにしてくる者のほうに、なびくようである。要するに、運命は女に似て若者の友である。ことなど考えず、より激しく、より大胆に、 若者は、思慮に富んでいないがために後々のことを考えず、より激しく、より大胆に、女を支配するからである。(P.200)
次の二つのことは、絶対に軽視してはならない。第一は忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども溶解できるなどと思ってはならない。第二は、報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させうると、思ってはいけない。(P.212)
いかに多くの人のためになることでも、新しい大事業を提唱するのは、提唱者にとって大変な危険をともなわずにはすまない。(P.237)
中ぐらいの勝利で満足する者は、常に勝者であり続けるだろう。(P.238)
やった後で後悔するほうが、やらないことで後悔するよりもずっとましだ。(P.242)
天国に行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。(P.244)
「ボーン・アルティメイタム」観ました。スピード感あふれる楽しめる映画でした。