「侏儒の言葉」(しゅじゅのことば)をiPad 青空文庫で読みました。大学生の頃、感激して読んだ本です。「悪魔の辞典」とともに愛読書でした。芥川龍之介の箴言集で、題名の「侏儒」とは体の小さい人、また知識のない人の蔑称です。読みなおして、しばらく入り込めませんでした。齢を重ねて、感性が変化したのでしょう。備忘します。
- 作者: 芥川龍之介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1968/11
- メディア: 文庫
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人生は一箱のマッチににている。重大に扱うのは莫迦々々(ばかばか)しい。重大に扱わなければ危険である。
好人物は何より先に天上の神に似たものである。第一に歓喜を語るのに好い。第二に不平を訴えるのに好い。第三に − いてもいないでも好い。
恋愛の徴候の意図つは彼女は過去に何人の男を愛したか、或はどう言う男を愛したかを考え、その架空の何人かに漠然とした嫉妬を感ずることである。
我々を恋愛から救うものは理性よりも寧ろ多忙である。恋愛も亦完全に行われる為には何よりも時間をもたなければならぬ。ウエルテル、ロミオ、トリスタン − 古来の恋人を考えても、彼らは暇人ばかりである。
自由は山巓の空気に似ている。どちらも弱い者には堪えることは出来ない。