「遠野物語へ」を読みました。著者のひとり三浦佑之氏は古事記の本をたくさん書いている方です。読みやすい文章です。「遠野物語」に、はじめに感心を抱いたのは「共同幻想論」に言及があったからだと記憶しています。高校生の頃でしたので読んでも何のことやらさっぱり分かりませんでした。それが数年前、水木しげるの「遠野物語」を読んだ頃から大いに理解が深まりました。さらにNHKの特集を見るに至って、カッパを見に現地にいかなければと思うまでになっています。
さてこの本は全く読んだことのない読者には辛い本です。不思議な話が詰まった作品であることを知っている人が、意味が分からず右往左往しているときに、よきナビゲーター役を果たす本だと思います。備忘します。
- 作者: 三浦佑之,赤坂憲雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/01
- メディア: 新書
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この神話ではアマテラスに使える服織女が死ぬのですが、古い神話ではアマテラス自身がホトを突いて死ぬと語られていたと考えられます。それは、「日本書紀」ではアマテラス自身が”ひ”で体を傷つけたと語られていることからも確認できます。おそらく、太陽神が死んで岩屋にこもり、その後に復活するという死と再生の神話が語られていたのでしょう。その時”ひ”という棒状の機織り器具で女神が性器を衝いて死んだというのは、誰が考えても性交の隠喩であるのは明らかです。では女神は誰と交わったのかと言えば、投げ込まれた馬の皮を被ったと語られているのですから、馬と同衾したと考えるほかありません。 (p.126)