「謎の大王 継体天皇」を読みました。立花隆さんが名著に挙げておられたので読んでみました。良書です。古事記と日本書紀が縦横に引用されています。あっさりと読んでいた部分も詳細に検討すると、いろいろな見方ができるばかりでなく、欠損している部分を想像力で補うことができることがわかりました。まことに古代史研究とは奥の深い知的ゲームであると思いました。昨年、見学した高槻の古墳は継体天皇陵だと言われています。現地の体験と知識が合体して心地よい気分に浸りました。備忘します。
- 作者: 水谷千秋
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/09
- メディア: 新書
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かれの亡骸が葬られていると推定されるのが、高槻市郊外の今城塚古墳である。…今城塚古墳こそが真の継体陵であるといわれている。全長190メートル、六世紀前半としては最大級の前方後円墳である。(p.15)
継体は熟柿が落ちるのを待つように20年をかけて大和入りし、政権内部の結束が回復するとただちに磐井征服郡を起こしたのである。この間の時機を外さぬ決断力はなかなかのものだ。(p.171)
…経験豊かな中央豪族たちを心服させるに足る、大人の風各ある人物だったのではないかと想像する。…まさに大器晩成型の人物だったといってよいだろう。(p.224)