久しぶりに、D・カーネギーの不朽の名著『道は開ける』を読み返しました。
学生時代に出会って以来、私の人生に深く影響を与えてきた一冊です。
とくに「最悪の事態を想定する」ことで不安から解放されるという考え方は、私の20代からの座右の銘であり、数えきれないほどの困難を乗り越える支えになってきました。
今回は改めてページをめくる中で、かつての自分と静かに向き合いながら、新たな発見もありました。


最悪を想定すれば、恐れは消える
「最悪の事態を受け入れてしまえば、もはや失うものはなくなる。」(p.47)
人は悩みにとらわれると、気持ちが揺れ動き、決断力を失いがちです。しかし、あえて最悪の事態を受け入れてしまえば、恐怖心は消え、問題に対して冷静に向き合えるようになります。
私自身、何度もこのメンタルの切り替え方に助けられてきました。「最悪でもこれ」と思えたとき、不思議と心は軽くなり、行動に移すエネルギーが湧いてくるのです。


今日一日だけに集中する
「過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。今日一日の区切りで生きよう。」(p.42)
「荷物がどんなに重くても、日暮れまでなら、誰でも運ぶことができる。」(p.34)
過去の後悔や未来の不安にとらわれると、今という時間を見失ってしまいます。
けれども、「今日一日だけ」と考えるだけで、気持ちが楽になり、目の前のことに集中できる。
この考え方は、現代のマインドフルネスとも通じる実践的な智慧です。人生を一気に変えることはできなくても、「今日一日を乗り越える」ことは、誰にでもできます。


思考が人生をつくる
「我々の人生とは、我々の思考が作り上げているものに他ならない。」(p.166)
思考が感情を生み、感情が行動を決め、行動が人生を形づくる──その連鎖を意識するだけで、心の向きが変わります。
愉快なことを考えれば、心も明るくなる。惨めなことばかりを考えていれば、気分も沈んでいく。
この「考え方がすべてを変える」という原理は、最近よく見ているボブ・プロクターの動画にも通じており、その源流が本書にあることを改めて実感しました。


快活に行動すれば、自然に前を向ける
「快活に考え行動すれば、自然に愉快になる。」(p.185)
「行動を変えれば、感情のほうも自然に変わる。」(p.179)
気持ちを変えるのは難しくても、行動なら変えられます。
そして、行動を変えることで、やがて気分や考え方もついてくる。このシンプルで実践的な法則は、落ち込んでいるときこそ思い出したいものです。
最初の一歩は、ただ立ち上がること、机に向かうこと、声をかけてみること。その小さな行動が、心の向きを変えていきます。


まとめ──「道」は常に、自分の中にある
再読を終えて実感したのは、困難を乗り越えるヒントは外ではなく、自分自身の中にあるということでした。
思考を整え、今日という一日に集中し、まずは一歩動き出す──その積み重ねが人生を好転させていくのでしょう。
最後に、この一節を改めて胸に刻みます。
「あなたの考えている事は、あなたそのものだ。」(p.166)

備忘します。


荷物がどんなに重くても、日暮れまでなら、誰でも運ぶことができる。自分の仕事がどんなに辛くても、1日なら、誰でもできる。太陽が没するまでなら、誰にでも快活に、辛抱強く、親切に、貞淑に生きられる。そしてこれこそが人生の秘訣そのものだ。ページ34自分の荷物がどんなに重くても、日暮れまでなら、誰でも運ぶことができる。自分の仕事がどんなに辛くても、1日なら、誰でもできる。太陽が没するまでなら、誰にでも快活に、辛抱強く、親切に、貞淑に生きられる。そしてこれこそが人生の秘訣そのものだ。ページ34
我々は学ぶ。人生とは、生きることの中、つまり毎日、毎時間の連続の中にあるのだということを。ページ37
過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。今日1日の区切りで生きよう。ページ42
一度悩み始めると、気持ちが絶えず動揺して、決断力が失われます。しかし、自分の目を無理矢理に最悪の事態へと向けさせ、それに対する心の備えを固めれば、妄想はことごとく消え去り、問題は解決のため全力を集中できるような立場に自分を置くことができるのです。ページ46
まさに、その通りだ!心理学的に見て、エネルギーを解放することなのだ!私たちが最悪の事柄を受け入れてしまえば、もはや失うものはなくなる。裏を返して言えば、どう転んでも儲けものなのだ!ページ47
アンドレモロアは述べている。我々の個人的な願望に合う事柄は全て真実のように思われ、そうでないものは、我々を激怒させると。ページ73
しかし、悩んでいる場合には容易なことではない。悩んでいる時はには感情が高ぶっているからだ。問題から離れて、事実を明晰な客観的態度で眺めようとするのに役立つ2つのアイディアがある。①事実を把握しようとする場合に、情報集めや自分のためではなく、誰か他人のためのだと思うようにする。… ②自分を悩ましている問題について事実を集めている間は、自分を自分の反対側に立って反論しようとしている弁護士とみなし、反論を加える準備をしているつもりになる。ページ74
要するに、事実に基づいて慎重に決断したならば、行動に移れということだ。考え直したりするな。ためらったり、やんだり、後戻りしてはならない。ページ80
悩みの習慣を断ち切る鉄則を掲げよう。忙しい状態でいること。悩みを抱えた人間は、絶望感に打ち負けないために、身を粉にして活動しなければならない。ページ105
私たちはこの勇ましい森の木木に似ていないだろうか?私たちは稀に襲ってくる人生の嵐や、崩壊や、雷鳴には何とか生き延びていくが、ただ悩みという小さな虫、指でひねりつぶせるほどの小さな虫によって、心を食い破られていないだろうか?ページ115
神よ、我に平静を与えたまえ、変えざる者を受容するために。変えるものを変える勇気と悟るための知恵を。悩みの習慣にする前にそれを断ち切るには、第4の鉄則がある。「避けられない運命には調子を合わせよう。」ページ142
つまり人間の不幸の大部分は、人々が物の値打ちを誤って評価してしまい、それぞれの呼び笛に対して代金を払いすぎているところに原因があると思われる。ページ150
我々の人生とは、我々の思考が作り上げているものに他ならない。そうなのだ。愉快な考え方をすれば、私たちは愉快になるだろう。惨めなことを考え始めたら、惨めになる一方であろう。恐ろしいことを思い浮かべれば、恐ろしくてたまらなくなるはずだ。病的なことを考えれば、病気になるに違いない。失敗するのを気にしたら、間違いなく失敗してしまう。自分ばかり可愛がれば、他人からは嫌われ、皆が寄り付かなくなるだろう。…あなたは、あなた自身で考えている通りのあなたではない。だが、あなたの考えている事は、あなたそのものだ。ページ166
自分の考え方を変えさすれば、男女問わず、悩みも恐怖も、どんな病気でも追い払うことができ、生活を刷新できることを知っている。断言しても良い、私は知っていると!こういう信じがたい変化が何百回も起きたのをこの目で見た。ページ172
たまに不安に襲われそうになったときには、これは誰の日常生活につきものでしょう、自分に向かって、カメラのピントを正しく合わせよう、と言い聞かせるだけで万事オッケーです。ベジ175
別の表現をすれば、ウィリアムジェームズは、決心することで即座に感情を変えることはできないが、行動を変える事は可能だと言っている。そして、行動を変えれば、感情のほうも自然に変わるだろうというのだ。ページ179
快活に考え行動すれば、自然に愉快になる。ページ185
私たちが失望落胆して、もはやレモンをレモネードに変える気力もう沙汰としても、とにかく2つの理由のために私たちは現状打破を試みなければならない。つまり、どちらからいっても、全てが得で失うものは何もないからである。第一の理由、成功するかもしれない。第二の理由、たとえ成功しなくても、マイナスをプラスに変えようとするだけで、後ろを振り返らずに前方を見つめることになる。消極的だった考えが積極的になり、それが想像力を働かせ活動させ、我々を多忙にし、過ぎ去ったものを嘆く時間や気持ちはなくなってしまうだろう。ページ240
自分の犯した愚行を記録しておいて自分自身を批判しよう。私たちは完全無欠を望めないのだからリトルの考え方を見習おう。偏見がなく、有益で、建設的な批判を進んで求めよう。ページ312
軍隊でやってることを見習って、時々休息しよう。皆さんの心臓と同じように働こう、疲れる前に休むのだ。そうすれば、あなたは起きている人生に1日1時間を付け加えることができるだろう。ページ321
勤務中の習慣その1、当面の問題に関係のある書類以外は全部机の上から片付けよう。勤務中の習慣その2、重要性に応じて物事を処理すること。勤務中の習慣その3、問題に直面した時、決断に必要な事実を握っているのだったら、即刻その場で解決すること。決断を延期してはならない。勤務中の習慣その4、組織化、代理化、管理化することを学ぼう。ページ343
私たちの疲労は仕事によって生じたのではなく、悩み、挫折、後悔が原因となっていることが多い。ページ347

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