はじめに
このたび、長島彬先生が『第3世代の鉄道 3GRのすすめ:リニア新幹線の対案』(Kindle版、2026年9月1日発売)を出版されました。

以前から親交のあった長島先生が「コンコルドのような開発はやめた方がいい」と語っていたことを覚えています。

本書はその考えを「筋の悪い開発」という概念として体系立てたものです。

技術書ではありますが、一読者としてその要点と感じたことをまとめます。

3GRとは何か


本書が提唱する「3GR(第3世代の鉄道)」は、超電導リニアのように新システムをゼロから作るのではありません。

鉄レール+鉄車輪という既存の高効率な組み合わせを活かしたまま、時速500km級の走行を目指す構想です。

主な要素として、著者は以下を挙げています。

1.円筒車輪+4輪独立操舵(4WIS)・全輪独立駆動(4WID):従来のフランジ付きテーパー車輪に代え、スリップの発生原理そのものを排除するとする


2.自走台車:台車自体を「座席のない鉄輪のEV」と位置づけ、地上設備に頼らず自立走行する思想


3.脱線防止ローラ:進退自在のローラを1台車に4個設置し、非常時のみ作動


4.地上給電方式:大容量蓄電池を車両に搭載し、架線・電柱に頼らない地上給電で充電

リニア新幹線への技術的検証

本書の第2章では、著者独自の計算式により超電導リニアの技術的課題を検証しています。

地上コイルの実働率は1日約157秒(稼働率約0.18%程度)にとどまるとの試算があります。

また、高温超電導磁石の冷却設備搭載により、客室有効長が圧縮されるといった指摘もあります。

いずれも著者の分析に基づくものです。

数値の妥当性は本書を直接ご確認いただきたいですが、視点として興味深い内容でした。

期待される展開
第4章・第5章では、新幹線だけでなく在来線の通勤電車、地方ローカル線、貨物輸送、市内交通まで3GRを展開する構想が描かれています。

既存新幹線網では、車両更新のタイミングでの切替が想定されています。

赤字ローカル線では、充電設備1箇所のみでの運行可能性も論じられています。

幅広い応用が構想されている点が印象的でした。

一貫した思想
私が個人的に印象に残ったのは、地上設備への依存を減らし、技術の進歩の恩恵が社会全体に広く行き渡る設計を志向している点です。

これは長島先生が2004年に発明された、農地で太陽光発電と農業を両立させる「ソーラーシェアリング」——特許化せず無償公開されたあの発明——と根底で同じ発想だと感じました。

今回も核となる特許(第7019205号)を無償公開されています。

この一貫した姿勢に、敬意を表したいと思います。

おわりに
私は技術者ではなく、本書の内容を専門的に検証する立場にはありません。

ですが、長年のご縁のある方の構想が一冊の本として結実したことを大変嬉しく思います。

この場で紹介させていただきました。

ご興味のある方はぜひKindleで本書を手に取ってみてください。

出典:長島彬『第3世代の鉄道 3GRのすすめ:リニア新幹線の対案』(Kindle版、2026年9月1日発売、ASIN: B0HHC83ZRB)

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA