先日、三谷幸喜さんの短編「其礼成心中(それなりしんじゅう)」を読みました。タイトルを目にして、「近松門左衛門?文楽?」と思いつつも、三谷さんの名前に惹かれて手に取った一冊です。
文楽「曽根崎心中」のパロディー
物語のベースになっているのは、近松門左衛門の名作「曽根崎心中」。文楽で繰り返し上演され、多くの人に知られています。本作では、この「曽根崎心中」があまりに有名になったことで、曽根崎が自殺の名所となり、周辺のお店まで影響を受けてしまいます。特に饅頭屋は「縁起が悪い」とされ、売上が落ち込む始末。
三谷流の仕掛けと逆転劇
そんな状況の中、カップルの心中を止める場面から物語は展開します。そこで主人公は「これは自殺防止の相談に乗ればよいのでは?」と発想を転換。饅頭屋は“相談料”という形で饅頭を高く売ることに成功し、大繁盛を迎えます。
ただ、そこは三谷幸喜作品。単なる勧善懲悪や商売繁盛の話にとどまらず、最後には落ちの効いたユーモラスな展開で幕を閉じます。ハッピーエンドながらも、読後にクスリとさせられる構成はさすがの一言。
読後の感想
短い作品ながら、エンターテインメントとして非常に楽しめました。古典文学のパロディでありながら、現代的な視点や皮肉を織り交ぜ、笑いと風刺をバランスよく描き出す筆力に感服しました。
三谷幸喜さんならではのユーモアと構成力に触れ、「読んでよかった」と素直に思える一編でした。改めて素晴らしい物語を届けてくださったことに感謝したい気持ちです。
👉 次は、三谷さんのほかの短編や戯曲も読み返してみようかなと思います。
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